2013年1月22日火曜日

2012年12月2日 放課後の学校クラブシンポジウム「学校×地域×アートがひらく新しい放課後」レポート


2012年12月2日に放課後の学校クラブシンポジウム「学校×地域×アートがひらく新しい放課後」を開催いたしました。
ゲストに現代美術家の稲垣立男さん、慶応義塾大学で教育方法学・カリキュラム論を専門とされている藤本和久さんを迎え、子ども部員約15人、水戸市内外からの一般来場者延べ60名にもご参加いただき、放課後の学校クラブのこれまで・現在・これからを考えるとともに、学びの場を創造する可能性について多様な参加者の方々と意見を交わす貴重な機会となりました。


まず13:00にクラブ見学会スタート。当日は約15名の子ども部員が参加し、いつもと違う雰囲気に緊張しながらも、マイペースに活動を進めてゆきました。この日は、次回放課後の学校テーマとなっている「森のしごと学校」のなかで行う授業の企画書づくりを行いました。「森のクリスマス工作授業」「おりがみの授業」「ちょっと危ない和の授業」など、
参観している大人の方からもアドバイスをもらいながら、企画書をつくってゆきます。

あっという間に一時間が過ぎ、14:00から隣の部屋でシンポジウムがはじまりました。
子どもたちも前の方に座ります。
最初に大人部員であり放課後の学校クラブの発案者でもある北澤潤が、これまで1年間の放課後の学校クラブの活動について写真を交えてお話をさせていただきました。
過去から現在までの説明の後、次なる学校として計画している「森のしごと学校」のプランを子ども部員自ら紹介。いつもと違う見学会と発表という流れのなかでも、みんなしっかり企画について話をしてくれました。

15:00からの「放課後の学校クラブをめぐるあれこれ」と題された第二部では、3つのテーマに沿って活動を見守ってきてくれた関係者の方を話し手に迎えそれぞれの視点から活動を語ってゆきます。
まず、浜田小学校の元校長先生である大木勝司先生と大人部員の山崎が『1.学校教育の視点から』というテーマでトーク。「最初は、なぜ大人部員がもっと子どもたちを仕切ったり構成だてて活動しないのかとイライラしながら見ていることもありました。けれど、子どもたちの生き生きとした教室では見れない表情をここでは見ることができるようになり、この「待つ」関わり方の重要さを実感しました」と、大木先生も教員らしい視点から本音を語ってくれました。
次にワークショップファシリテーターの横須賀聡子さんと大人部員の山口が『2.地域恊働の視点から』というテーマでお話させていただきました。横須賀さんの携わっているNPO法人水戸こどもの劇場がこれまで長くゆるやかに続いている理由として、「集まる人たちが勝手に好きなことをやっていること」とお話してくださいました。放課後の学校クラブにも似たような自由さがあるのかなと感じました。
最後は筑波大学芸術系教授の齊藤泰嘉先生と大人部員の北澤が『3.アートプロジェクトの視点から』というテーマでトーク。放課後の学校クラブはアートプロジェクトなのか?という疑問に、何度も活動を見に来てくださっている齊藤先生から「はじめは、学校をつくるということも、それがアートだということも想像ができず見学に来ました。けれど、子どもたちが変わっていく様子やつくられた放課後の学校を見ていて、新しいアートなのかもしれないなと感じるようになりました」と素直な感想を聞かせてくださいました。

16:00からは、司会を常磐大学の石田喜美さんにバトンタッチし、ゲストコメンテーターのお二人と「開かれた放課後の可能性」と題したパネルディスカッションへ。
稲垣さんは稲垣さんが行っているプロジェクトの紹介なども織り交ぜ、ご自身がアーティストとして教育現場に関わるときの手法と放課後の学校クラブの手法を比較しながら、個人の活動としてではなくクラブの活動としてプロジェクトを見せてゆくことの面白さと難しさをお話してくださいました。
藤本さんも最初のクラブ参観での様子を思い出しながら、大人と子どもの垣根を超えたコミュニケーションの瞬間を見つけたことや、大人部員のクラブでの振る舞い方について教師的な側面があることが面白いと私たちも無意識になっていたところへ視点をなげかけてくださいました。
参加している人たちは学んでいるのか、遊んでいるのか/この場は学びの場なのか、アートなのか など、「アート」や「教育」といったひとつのテーマの場ではあまり起こらないような広がりのあるトークが展開されてゆきました。


まだまだここに書ききれな話もたくさん出てきたので、今回のシンポジウムの内容をまとめた記録を作れればと思っています。
参加者の皆様、ほんとうにありがとうございました!